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― 「原因がわからない体の不調」、それは心が助けを求めているサインかもしれません ―
「どこも悪くない」と言われたけど、つらい…
・体が動かなくなったり、しゃべれなくなったりする
・突然の記憶の混乱や、人が変わったようになる
・強いストレスのあとに、身体に不思議な症状が出た
・検査では異常なし。でも本人は本当につらそう
・周囲から「気のせい」「大げさだ」と誤解される
こうした状態が続いているとき、“ヒステリー”と呼ばれていた心の不調のひとつが関係しているかもしれません。
現代では、「解離性障害」や「身体症状症」という病名に分類されることが多く、こころと体が分離することで現れる症状が特徴です。ヒステリー性障害ってどんなもの?
ヒステリー性障害は、強いストレスや心の葛藤が、身体の症状として現れるこころの病気です。症状は多様で、医学的検査では説明できないことが多いため、本人のつらさが理解されにくい傾向があります。
【代表的な症状】
・急に体が動かなくなる、話せなくなる(運動・感覚の障害)
・強い記憶の抜け落ち(解離性健忘)
・別人格が現れる(解離性同一性障害)
・けいれん、ふるえ、麻痺、意識の変化
・慢性的な痛みやだるさ、呼吸苦などの身体症状
本人は「わざとやっている」わけではなく、こころが圧倒され、体に逃げ場を作っている状態です。なぜ起こるの?
・過去のつらい体験やトラウマ(いじめ、虐待、事故、喪失など)
・感情を外に出せない性格(我慢強い、内向的)
・強いプレッシャーや葛藤が続いたとき
・無意識の防衛反応として、体や意識に変化が起こる
自分を守るために、こころが一時的に「現実から距離を取る」働きとも言えます。どうすればよくなるの?
ヒステリー性障害は、じっくりと安全な環境の中で、自分自身と向き合うことが大切です。
・まずは安心できる診療環境で「症状は本物」と理解されること
・心理療法(カウンセリング)で、感情や体験の整理を行います
・必要に応じて、抗不安薬や抗うつ薬、漢方薬などを使うこともあります
・身体的なリラクゼーション法(呼吸法・筋弛緩法)なども効果的です
周囲の「気のせい」「甘え」といった誤解が回復を妨げるため、ご家族の理解と支えも重要です。当院での取り組み
当院では、「どこが悪いのかわからないけれど、体も心もつらい」といったお悩みに、ていねいに耳を傾ける診療を心がけています。
・症状が「作りもの」ではないことを前提に、安心できる関係性づくりからスタートします
・必要に応じて、心理療法・薬物療法・リラクゼーション・栄養療法などを組み合わせた多面的なケアをご提案
・身体症状にとらわれすぎず、「どう感じているか」「どう過ごしていきたいか」に寄り添う関わりを大切にしています
家族や学校・職場との連携を通じて、安心できる生活環境のサポートも行っています
「自分でもどうしてこうなるのか分からない」――
その言葉こそ、心が助けを求めているサインです。
どうぞ安心して、ご相談ください。