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― 「夜寝られない、朝起きられない」は、甘えじゃなくて体のリズムの病気かもしれません ―
「眠れない」「起きられない」で悩んでいませんか?
・夜中まで寝つけず、いつも寝るのは2〜3時過ぎ
・朝、目覚ましを何度かけても起きられない
・昼間はなんとか活動できるが、学校や仕事に遅れがち
・「生活がだらしないだけ」と責められてしまう
・休日は昼すぎまで寝てしまうが、夜はまた眠れなくなる
このような生活が続いていて、「自分は怠けているんじゃないか」とつらくなっていませんか?
それは、「睡眠相後退症候群」という、体内時計のリズムのズレによって起こる睡眠障害かもしれません。睡眠相後退症候群ってどんな病気?
この病気では、眠くなる時間帯(入眠相)と起きる時間帯(覚醒相)が極端に後ろへずれてしまうため、社会的な生活リズムと合わなくなってしまいます。
【主な特徴】
・寝ようとしても眠くならず、深夜〜早朝になってようやく眠れる
・十分な睡眠時間を確保できれば、昼間は元気に活動できる
・無理に朝起きても、集中できない・体調が悪い
・親や周囲から「努力が足りない」と誤解されやすい
・学校・仕事・家庭でのトラブルにつながることもある
思春期〜若年成人に多くみられ、「夜型の生活」ではなく医学的な“ずれ”としての睡眠障害です。なぜ起こるの?
体の中には「体内時計(サーカディアンリズム)」がありますが、これがうまくリセットされなくなることで起こります。
・思春期以降の自然なリズムの後退
・夜間のスマートフォン・パソコンの使用(ブルーライトの影響)
・遺伝的要因
・ストレス・生活環境の変化
・「夜更かし・昼寝・朝日を浴びない」などの習慣による悪循環
本人の意思の問題ではなく、体の時計がずれていることが根本の原因です。どうすれば改善できるの?
治療や生活調整により、徐々に体内時計を社会のリズムに合わせていくことが可能です。
・光療法:朝起きた直後に強い光(専用のライトや朝日)を浴びて体内時計をリセット
・メラトニン療法:睡眠ホルモンの調整薬(医師の処方による)
・睡眠スケジュールの調整:一気に直すのではなく、15分ずつ寝る時間を早めていく
・就寝前のスマホ制限、カフェインを避けるなどの生活指導
必要に応じて精神的なサポート(カウンセリングなど)も行います。当院での取り組み
・当院では、「夜眠れない・朝起きられない」で悩んでいる方に対して、“生活習慣の乱れ”ではなく、れっきとした睡眠障害として丁寧にサポートしています。
・睡眠日誌や生活リズムを確認し、ご本人のペースに合わせた調整プランをご提案
・必要に応じて、光療法・漢方・栄養療法・カウンセリングなど多面的な支援を行っています
・お子さま・学生の方には、保護者や学校との連携も大切にしています
「ただの夜型」と思われやすいこの障害に、正しい理解と安心できる対応を心がけています
「生活を正す」ではなく、“体内時計を整える”ことが回復の第一歩です。
どうぞ一人で悩まず、お気軽にご相談ください。