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― 年のせい、ではありません。「元気が出ない」には理由があります ―
こんな様子、ご本人やご家族に思い当たることはありませんか?
・いつも元気だったのに、最近表情が乏しくなった
・食欲がなくなり、体重が減ってきた
・寝つきが悪い、早朝に目が覚める
・外出や人との交流を避けるようになった
・「生きていてもしょうがない」とつぶやく
・体の不調を何度も訴えるが、病院では異常がないと言われる
こうした変化がみられるとき、それは「老年期うつ病」かもしれません。
加齢によるものと片付けられがちですが、こころの不調が原因となっていることがあります。老年期うつ病ってどんな病気?
老年期うつ病は、高齢者にみられるうつ状態で、若い人とは少し違った形で現れることが多いのが特徴です。
【よくある症状】
・気分の落ち込みよりも、体のだるさや疲労感を強く訴える
・不安感、焦燥感が強い
・食欲不振、睡眠障害
・身体の不調を繰り返し訴える(心気的傾向)
・「自分は周りに迷惑をかけている」と強く思い込む
・過去のことを悔やみ続ける、死について口にする
特に注意が必要なのは、認知症と間違われやすい点です。記憶力の低下や意欲の消失などが共通しており、うつ病に適切な治療を行うことで、状態が改善することもあります。なぜ起こるの?
老年期には、心身の変化や社会的な喪失が重なり、うつ状態が引き起こされやすくなります。
・退職による役割の喪失
・配偶者や友人との死別
・慢性の病気や痛み
・孤独や社会とのつながりの減少
・加齢に伴う脳内物質(セロトニンなど)の減少
「自分はもう必要とされていないのでは」といった気持ちが、静かにこころを弱らせていくことがあります。どうすればよくなるの?
老年期うつ病も、早めに気づいて治療を始めれば、十分に改善が可能です。
・抗うつ薬や抗不安薬の使用:高齢者の体調に配慮しながら、慎重に調整します
・心理的サポート:ゆっくりと話を聴く、安心感を持てる関係づくりが大切です
・生活リズムの安定:昼夜のメリハリ、食事・運動・日光浴などを整えていく
・家族や周囲の理解と支援:一人にしない、気軽に声をかけ合える環境を整える当院での取り組み
当院では、老年期に特有のこころの不調に対して、やさしく、わかりやすい関わり方を心がけています。
・ご本人の体力や聞き取りやすさに配慮した、ゆっくり丁寧な診察
・家族や介護者との連携による、生活環境の調整や見守りサポート
・必要に応じて、栄養療法・漢方薬・リラクゼーション法(呼吸法など)も取り入れています
・認知症との見きわめも行いながら、適切な診断とケアをご提供します
「年だからしかたない」とあきらめずに。
今からでも、こころは回復できます。
どうぞ、お気軽にご相談ください。