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― 突然の出来事のあと、心と体がついていかない…それは自然な反応かもしれません ―
つらいできごとの後に、こんな変化はありませんか?
・事故や災害にあった後、気持ちが落ち着かない
・夢に出てきたり、思い出したくないのに思い出してしまう
・突然涙が出たり、イライラしたり、感情の起伏が激しい
・周囲の音や光に敏感になり、いつも緊張している
・現実感がなく、「自分じゃないみたい」と感じる
これらの症状が、つらい出来事の直後からあらわれている場合、それは「急性ストレス障害(ASD)」かもしれません。
誰にでも起こり得る、ごく自然な“こころと体の反応”です。急性ストレス障害ってどんな状態?
急性ストレス障害は、命に関わるような出来事や強いショックを受けた後に、短期間あらわれる精神的・身体的な反応のことです。
事故、災害、暴力的な体験、突然の別れや病気の告知など、心に強い衝撃を受けた後に起こります。
【よくある症状】
フ・ラッシュバック(突然、場面が頭に浮かぶ)
・不眠、悪夢、過度の警戒心
・物事に集中できない、ぼーっとする
・「感情がなくなったように感じる」などの解離症状
・自分や周囲が現実ではないように思える感覚(非現実感)
症状は数日〜1か月以内にあらわれることが多く、この期間を超えて症状が続くと「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と診断されることもあります。なぜ起こるの?
人間の心と体は、あまりに強いショックを受けたとき、それをすぐに処理することができません。
・心を守るために「切り離す」ような感覚(解離)が起こったり
・過去の記憶が断片的に蘇ってきたり
・体が常に警戒モードになってしまったり
これらはすべて、心がなんとかバランスを保とうとしている反応なのです。どうすればいいの?
急性ストレス障害は、早めのケアと適切な関わりで回復が見込める状態です。
・まずは「今の反応はとても自然なこと」だと知ることが第一歩です
・できるだけ安心できる環境で、無理をしない時間を過ごしてください
・必要に応じて、不眠や不安を和らげるお薬を使うこともあります
・カウンセリングやトラウマケア(心理的サポート)を受けることで、心の整理がしやすくなります
決して「忘れなければならない」と自分を追い込まないことが大切です。当院での取り組み
当院では、事故・災害・突然のショックなどをきっかけにこころと体に変化が現れている方に対して、安心できる環境と丁寧な対応を心がけています。
・「話したくない気持ち」にも寄り添いながら、無理のないペースで関わるカウンセリングを行います
・必要に応じて、不安・不眠・過覚醒への薬物療法や、栄養・漢方的なケアも取り入れています
・呼吸法や自律神経のケアなど、その日からできるセルフケアも一緒にご提案します
急性期から中長期にわたるフォローアップも可能ですので、「つらさが長引いている」と感じたときもお気軽にご相談ください。
「こんなふうに感じてしまう自分はおかしいのかも…」
――そんなふうに思わなくて大丈夫です。
あなたの心は、今、一生懸命がんばっているのです。