―「現実」と「こころ」のつながりが、少しずれてしまう病気です ―

見えない不安や混乱に、ひとりで悩んでいませんか？統合失調症は、現実のとらえ方や考え方、感情や行動が乱れ、生活や人間関係に大きな影響が出る心の病気です。「誰かに監視されている気がする」「声が聞こえる」「考えがまとまらない」といった症状が現れることがあります。発症は10代後半から30代ごろに多く、決してめずらしい病気ではありません（およそ100人に1人程度）。早めの対応と、周囲の理解・支援がとても大切です。

統合失調症の症状は、大きく3つのタイプに分けられます。
・陽性症状：幻聴（誰かの声が聞こえる）、被害妄想（監視されていると感じる）、作為体験（考えが操作されている気がする）など、現実にはないことをあると感じてしまう状態です。
・陰性症状：意欲の低下、感情の平坦化、人との関わりを避けるなど、気持ちや行動が乏しくなる傾向です。
・認知機能の障害：注意が散漫になる、思考がまとまりにくい、物事の段取りが苦手になるなど、生活の中で困りごとが増えてきます。
これらの症状は、病気による脳の働きの変化によって起こるものです。

統合失調症の原因は完全にはわかっていませんが、次のような要因が関係していると考えられています。
・脳内の神経伝達物質（特にドーパミン）のバランスの乱れ
・遺伝的な体質（家族に同じ病気の方がいる場合、リスクが少し上がる）
・強いストレスや生活環境の変化
・睡眠不足や生活リズムの乱れ
性格や育て方が原因ではありません。「脳の病気」であるという理解が大切です。

統合失調症は、適切な治療と支援によって回復を目指せる病気です。
・薬物療法：抗精神病薬を使い、幻覚や妄想などの症状を抑えます。再発予防にも有効です。
・心理社会的支援：カウンセリング、認知行動療法、作業療法などを通じて、生活の安定と社会復帰を支援します。
・生活習慣の整備：睡眠や食事、ストレス対策など、心と体のバランスを保つことが再発予防につながります。
治療には時間がかかることもありますが、焦らず、段階を踏んで回復を目指すことが大切です。

当院では、薬物療法に加え、心理療法やカウンセリング、栄養療法、リラクゼーション（呼吸法・筋弛緩法）などを取り入れ、患者様一人ひとりに合わせた治療を行っています。「幻聴がつらい」「気持ちがまとまらず混乱する」そんなときは、ひとりで抱え込まずに、どうぞご相談ください。安心できる環境と、あたたかな支援が、回復への第一歩になります。