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― つらい経験が、こころに深く残っているとき ―
心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは
ー つらい出来事のあとに、心が落ち着かない ー
心的外傷後ストレス障害(しんてきがいしょうごストレスしょうがい)は、命の危険を感じるような強いストレス体験のあとに、心と体の不調が続いてしまうこころの病気です。英語では PTSD(Post-Traumatic Stress Disorder) と呼ばれています。
たとえば、事故、災害、暴力、いじめ、虐待、突然の別れなど…強いショックや恐怖を感じた出来事が、時間がたっても頭から離れず、日常生活に大きな影響を与えることがあります。主な症状
PTSDには、次のような特徴的な症状があります。
・再体験(フラッシュバック):つらい記憶が突然よみがえり、まるでその場にいるかのように感じてしまう
・回避:思い出すのがつらくて、その出来事や場所、人、話題を避けてしまう
過覚醒:常に緊張していたり、眠れなかったり、ちょっとしたことで驚いたりイライラする
・気分や考え方の変化:自分や他人への信頼が持てなくなったり、無力感・罪悪感にとらわれる
こうした症状が1ヶ月以上続き、日常生活や人間関係に支障が出るとき、PTSDの可能性があります。どうしてPTSDになるの?
誰にでも、強いショックや恐怖を経験したあとは心が不安定になります。多くの場合は時間とともに回復していきますが、一部の人では記憶や感情がうまく処理されず、心に深く傷が残ってしまうことがあります。
・心の準備ができていない突然の体験
・周囲からのサポートが少ない
・同じような体験が繰り返された場合
幼少期のつらい経験が影響している場合もあります
PTSDは「弱い人がなる病気」ではありません。強い体験に対して心が自然に反応している状態です。どうやって治すの?
PTSDは、こころの回復のプロセスをサポートすることで、改善が期待できる病気です。
・カウンセリングやトラウマ療法:安全な環境で気持ちを整理し、過去の記憶との向き合い方をゆっくり学びます(EMDRや認知処理療法などが効果的です)。
・お薬による治療:不安や不眠、気分の落ち込みが強いときに、症状をやわらげる薬が使われます。
・安心できる生活環境の整備:心と体を休めるための生活リズム作りも大切です。
無理に思い出す必要はなく、今のつらさを少しずつやわらげていくことが目標です。当院のサポートについて
当院では、トラウマに関する専門的なカウンセリングや、お薬による治療に加え、栄養療法やリラクゼーション(呼吸法・筋弛緩法)も取り入れています。緊張や不安をやわらげ、安心できる場所で少しずつ回復をサポートしていきます。
「つらい記憶がふとよみがえる」「人が怖くなった」「自分を責めてしまう」
そんな思いを抱えている方は、どうかひとりで我慢しないでください。心に負った見えない傷にも、確かな治療があります。私たちが、そっと寄り添います。